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2016年6月 6日 (月)

ハリウッド1944年

   ドイツのポーランド侵攻に始まった第二次世界大戦もドイツの敗色が濃厚となった年である。前年の暮れに、ルーズベルト、チャーチル、スターリンがイランの首都テへランで会談して、ヨーロッパ第二戦線の結成について意見の一致をみた。こうして翌1944年1月、アイゼンハワー将軍率いる80個師団がイギリス本土に待機して、時期の熟するのを待っていた。この大戦の決戦の日はDデーと名づけられた。ロンメルは「この日こそは、連合国軍にとってもわれわれにとっても、いちばん長い日になるだろう」といった。そして6月6日連合国軍のノルマンディー上陸が開始された。このような中でもハリウッドは歌や踊りをまぜたミュージカル的な作品や、コメディー・タッチの洒落た映画が多かった。「姉妹と水兵」ではジューン・アリスンが売り出した。ブロードウェイでヒットした「レディ・イン・ザ・ダーク」をジンジャー・ロジャーズで映画化した。「世紀の女王」で水泳美人のエスター・ウィリアムズや「ピンナップ・ガール」のベティ・グレイブルが兵隊さんの人気を集めた。そのほかシェリー・ウィンタース、ジーンケリーの「カバーガール」、ジュディ・ガーランドの「若草の頃」、クローデット・コルベールやジェニファー・ジョーンズで銃後の女性を描いた「君去りし後」、ジンジャー・ロジャーズの「恋の十日間」などがある。

 

   戦争中のハリウッドではサスペンスがさかんだった。フレッド・マクマレー、バーバラ・スタンウィック、エドワード・G・ロビンスンの「深夜の告白」、ヒッチコック監督、タルーラ・バンクヘッド他の「救命艇」、フランチョット・トーン、エラ・レーンズで「幻の女」、ディアナ・ダービン、ジーン・ケリー共演の「クリスマスの休暇」も人情サスペンスだった。ダナ・アンドリュースの「ローラ殺人事件」、エドワード・G・ロビンソン、ジョーン・ベネットの「飾窓の女」、ケーリー・グラントやジョゼフィン・ハル、ピーター・ローレのコメディー・サスペンス「毒薬と老嬢」、イングリッド・バーグマン、シャルル・ボワイエの「ガス燈」は心理サスペンス。ジョーン・フォンテーン、オーソン・ウェルズの「ジェーン・エア」も文芸サスペンスだった。シモーヌ・シモンの「キャット・ピープルの呪い」は怪奇映画。

 

   スパイ映画ではピーター・ローレの「仮面の男」、レイ・ミランドの「呪いの家」「恐怖省」、ハーバート・ロムの「あるスパイの末路」、シモーヌ・シモンの「ナチスに挑んだ女」が佳作。

 

   コメディでは「ダニーケイの新兵さん」、チャールズ・ロートンの「幽霊は臆病者」、ゲール・ラッセルの「桃色の旅行鞄」、ミッキー・ルーニーの「青春学園」、フランク・マクドナルド、ジャック・ヘイリー、べラ・ルゴシの「奇妙な遺言状」、戦後に日本で公開され大ヒットしたビング・クロスビーの「我が道を往く」がある。

 

   西部劇ではジョン・ウェインの「拳銃の町」、ジョエル・マックリー、アンソニー・クイン、トーマス・ミッチェルの「西部の王者」、ランドルフ・スコットの「ユーコンの女王」などがある。

 

   戦争映画ではハンフリー・ボガード、クロード・レインズ、ピーターローレの「渡洋爆撃隊」、スペンサー・トレーシー、バン・ジョンソン、ロバート・ミッチャムの「東京上空三十秒」、ゲーリー・クーパーの「軍医ワッセル大佐」、トレバー・ハワード、ピーター・ユスチノフの「最後の突撃」、グレゴリー・ペックの「炎のロシア戦線」がある。

 

    コメディではボブ・ホープ、バージニア・メイヨ、ビクター・マクラグレン、ウォルター・ブレナンの「姫君と海賊」がある。

 

   名作ものにはマーナ・ロイ、ウイリアム・パウエルの「風車の秘密」、ジョーン・フォンテインの「情炎の海」、グリア・ガースン、ウォルター・ピジョンの「キュリー夫人」「パーキントン夫人」、マレーネ・デートリッヒ、ロナルド・コールマンの「キスメット」、アイリーン・ダン、ベン・ジョンソンの「ドーヴァーの白い崖」、アイリーン・ダン、シャルル・ボワイエの「再会」、ハンフリー・ボガート、ローレン・バコールの「脱出」がある。新人グレゴリー・ペックが女性たちから人気が出たのもこの年で「王国の鍵」がある。アラン・ラッドには「愛のあけぼの」「傷だらけの勝利」がある。「緑園の天使」で当時12歳だったエリザベス・テーラーの美少女ぶりが話題となる。

 

   「ハリウッド玉手箱」は当時ワーナー・ブラザーズのスターが総出演している。アンドリュー・シスターズ、ジャック・ベニー、ジョー・E・ブラウン、エディ・キャンター、キティー・カーライル、ジョーン・クロフォード、ベティ・ディヴィス、ポール・ヘンリード、ピーター・ローレ、アイダ・ルピノ、エレノア・パーカー、ロイ・ロジャース、アレクシス・スミス、バーバラ・スタンウィック、ジェーン・ワイマンなど。(6月8日)

 

 

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コメント

日本が戦争で窮迫する同時期に、こんなにもたくさんの娯楽映画を作成していたんですね。

ベティ・デイビスは晩年の姿しか知らなかったのですが、演技派の大スターなのですね。

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