セカンド・ラブ
映画は女優で観るか、監督を追うか、それが問題だ。東陽一監督、大原麗子主演「セカンド・ラブ」(1983)を観る。一般的な評価の低い作品であるが、見所は多い。東陽一(83歳)は現役最古参の監督の1人であり、最新作は常盤貴子主演の「だれかの木琴」(本年9月公開予定)。女性映画の第一人者といわれる。これまで「サード(森下愛子)」「四季奈津子(烏丸せつこ)」「ザ・レイプ(田中裕子)」「化身(黒木瞳)」「ラブレター(関根恵子)」「マノン(烏丸せつこ)」「うれしはずかし物語(川上麻衣子)」があり、俗に脱がせ屋の異名をとる。当時、「少し愛して、なが~く愛して」のCMで人気絶頂だった大原麗子だから、その脱ぎっぷりを期待した御仁には残念な映画だったに違いない。大原麗子は有名な女優の割には代表作がない。映画よりもむしろテレビドラマのヒロインが多かった。映画で印象的なのは高倉健と共演した「居酒屋兆治」や「男はつらいよ」のマドンナ役か。しかしいずれも主演作品ではない。この東陽一の「セカンド・ラブ」が彼女の数少ない主演作品といえる。内容は年下の男と再婚した女性の夫婦愛の話。タイトルから感じるような「セカンド・バージン」「コントレール」のようなドラマチックな展開はない。むしろ日常的な映像がリアルに訴えてくる。やはり監督の力であろう。アイ・ジョージの演技もお世辞にも上手いとはいえないが、本作以降目立った芸能活動がないだけに貴重な作品となっている。演技派の小林薫もここでは目立つことなく、ういういしい感じがする。
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