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2016年5月28日 (土)

一所懸命か、一生懸命か?

3492f752   SMAPの「世界に一つだけの花」を聞いていると、歌詞に「一生懸命」という言葉がでてくる。ケペル世代では、中学生時代の書き取り試験などで「一生懸命」というのは誤りで、正しくは「一所懸命」だと覚えた。漢字書き取りの傾向と対策のようなもので、「危機一発ではなくで危機一髪が正しい」というのと同類の認識をもっていた。ところが、いつごろからか日本では「一生懸命でもよい」から「むしろ一生懸命のほうが良い」とまで進展しているらしい。小学生の孫のプリントには「一生懸命(若い物事に全力を尽くすこと)」とある。若い方の説明によると、一所懸命は、ある人が一ヶ所の領地をめぐって、命がけでその土地を守ったことに由来するが、平和な今の時代人生において命がけで勉強する、とか頑張るという程度のことであれば「一生懸命」のほうがよいという。「一所懸命」と使うのは「俺は知っているんだ」という感じがでてしまう、という意見をネットでみた。言葉は変化しているものである。いろいろ調べてみても「一所懸命」は分が悪い。もともとは「必死」「「死にものぐるい」「背水の陣」という壮絶な死の覚悟があったが、本来の意味からトーンダウンして「生き死に関係なく、人生において「全力をあげて何かをする」という程度の気持ちなので使い勝手のよい言葉となった。「一生懸命」の大安売りである。武部良明「四字漢語の用法」を見ても「一生懸命」を見出し語としている。センスの問題だが自分は「一所懸命」のほうが気概とか覚悟が込められて真剣味を感じる。日本人でたった自分ひとりになっても「一所懸命」を使用したい。

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