中島孤島「こども世界歴史」
小学生向きのやさしい世界歴史がはじめて出版されたのは、明治期であろうが、本格的な通史として広く読まれたのは中島孤島の「子供世界歴史」(昭和5年、冨山房)であろう。序文に「小学校には世界歴史の科目がないので、大抵の子供は、中学へ行くまでは、世界歴史の話を聞かずに過ぎてしまいます。そういふ子供に、童話を読むような心持で、歴史上の偉い人物や大事件の話を読ませることが出来たら、きっと童話から離れかかった子供の心に新しい満足が与えられるにちがいない」と記している。中島孤島はそれまでも「沙翁物語」「グリム御伽話」「千一夜物語」「西遊記」など翻訳再話を得意としてきたが、坪内逍遥のすすめで世界歴史にとりくんだ。歴史物語を専門の歴史家ではなく、文学者が執筆しているところがおもしろい。「こども世界歴史」は名著として戦後も版を重ね、影響するところ少なくなかった。
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