深沢七郎と今川焼
「楢山節考」「笛吹川」で知られる深沢七郎は話題に事欠かない作家だった。とくに「風流夢譚」は主人公がバスの車中で見た夢のなかで、天皇皇后の首のない胴体を見たという箇所がある。世間では「皇室の名誉を毀損する」と大々的な批判がおこり、中央公論社社長の嶋中邸が右翼青年に襲われる。この小説の影響で深沢は2年間にも及ぶ逃亡生活を強いられる。そして1965年に埼玉県に農場を開き話題も多かった。1971年には東京墨田区東向島の曳舟駅近くで今川焼「夢屋」を開店した。ところが夢屋の入っている建物の3階に住む女性が窓から水を捨てたところ、それが誤って客にかかってしまった。激怒した深沢は彼女を殴り、傷害罪で逮捕・書類送検されてしまった。ちなみに今川焼という小麦粉でアンコを包んだ菓子は、戦国大名の今川義元とは何の関係もない。江戸の神田に今川橋というのがあり、そこで売っていたことからついた名前である。
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