十二指腸はなぜ12本の指!?
神経という訳語は、杉田玄白がはじめて「解体新書」のなかで用いた術語である。玄白は「和蘭医事問答」のなかで、「神気」の神と、「経脈」の経とを合わせて、この新語をつくったと述べている。神経そのものについては、玄白よりも以前の南蛮医学や紅毛医学でも取り扱われていて、骨髄節または世奴(せいぬ)などと呼ばれていた。このほかにもクルムスの「解剖学図譜」(Anatomische Tabellen)の訳語には今日も医学用語として使われているものがある。「十二指腸」(duodenum)もその一つである。解体新書には「十二指腸は長さ十二の指の横径の如くして、胃の下口に接す」とある。だが実際の長さは25~30cmで、指12本の長さよりやや長い。これを翻訳者がインチの単位を知らなかったために生じた誤訳であるとするのは俗説でりあり、西洋でも古くからこの部分が指の幅の12倍ほどであるといわれていた。(M氏からの指摘により一部訂正2012.1.3)
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面白い誤訳ですね。十二指腸。
胃の幽門も、すごい命名です。幽門と胆のう液や萃液のつながる十二指腸は、配管屋さんなら弁の開閉タイミング設計に悩む構成のパーツでしょう。
投稿: さぶろた | 2011年2月20日 (日) 23時55分
「十二指」が日本人のやった語訳だとしたら,どうして英語のソースにこんな説明があるのでしょうか?最後にtwelve fingersとあります。
(Online Etymologyより)
duodenum
late 14c., from M.L. duodenum digitorium "space of twelve digits," from L. duodeni "twelve each." Coined by Gerard of Cremona (d.1187), who translated "Canon Avicennae," a loan-transl. of Gk. dodekadaktylon, lit. "twelve fingers long," the intestine part so called by Gk. physician Herophilus (c.353-280 B.C.E.) for its length, about equal to the breadth of twelve fingers.
Wikipedia英語版でduodenumを調べてみてください。なおフランス語版,スペイン語版にも同じことが書いてありました。どう思われますか?
投稿: M | 2012年1月 3日 (火) 02時02分
訂正とお詫び
Mさんのご指摘に従い、記事の一部を訂正します。
投稿: ケペル | 2012年1月 3日 (火) 11時22分