本屋大賞
全国の書店員が選ぶ「本屋大賞」というのがある。今年は宮下奈都の「羊と鋼の森」が受賞した。受賞作はピアノの調律師をめざす17歳の青年の話し。
近ごろ、街の小さな書店はほとんど見かけなくなった。都心の大書店にはいつも大勢の人がいるが、小さな書店はあまり活気がない。リアル本屋は斜陽産業なのである。1999年には2万2296店であった本屋は、2015年は13488店、つまりこの16年間で、8798店以上も減った。原因としては、ネット書店の普及、若者が本を読まなくなった、長びく不況と低所得、図書館の利用、などの理由が考えられる。身近にある本屋が減ることで、社会や暮しがどのように変わっていくのだろうか。地方書店が減ることは当然、出版業界にも悪影響を及ぼす。優秀な人材は出版界に就職しなくなる。良書を出版していた零細出版社は倒産する。芥川賞、直木賞、村上春樹の小説なとがいかに売れようが、出版の多様性を失うことで、日本の言論は大きく低下し、民主主義はさらに失速する、という悪循環がおこる。やはり地方の本屋を育てていかなければならない。
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