谷崎潤一郎、二番目の妻
「僕は初めてほんとうの夫婦生活というものを知った。精神的にも肉体的にも合致した夫婦と云うものの有り難味が45歳の今日になって漸く僕に分かった」と谷崎潤一郎は書いている。だが谷崎の21歳も年下の婦人記者、古川丁未子(ふるかわとみこ、画像)との二度目の結婚生活はスピード離婚に終った。昭和6年4月24日に挙式しているので、85年も昔の話である。昭和8年5月には別居、昭和9年10月には離婚している。丁未子は根津松子とは対照的で、断髪が似合うモダンガールだった。「猫と庄造と二人のをんな」「蘆刈」や「寝園」(横光利一)などの作品のモデルとなっているので、かなり出版関係者の間では知られた女性だったようだ。谷崎潤一郎との3年ばかりの短い結婚生活の後、丁未子はどう生きたのだろう。離婚して間もなく、若い文芸春秋の編集員、鷲尾洋三(1908-1977)と再婚している。鷲尾は優れた編集者で、専業主婦に収まった。丁未子は、谷崎が亡くなってから4年後の昭和44年に亡くなっている。
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