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2016年4月15日 (金)

アリストパネスかアリストファネスか、表記の揺れの話

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Chiisanatoriyo

   ドイツの文豪ゲーテが我が国に紹介されたとき、「ギョエテ」「ゲョエテ」「ギョーツ」「グーテ」「ゲエテ」など数十種類もあったという。斎藤緑雨は「ギョエテとは俺のことかとゲーテ言い」と川柳で諷刺した。外国人名の表記は難しいものである。

    Remy Charlipという絵本のイラストレーターがいる。日本でも翻訳書がたくさんある。岩波書店、福音館、偕成社、それぞれで、R・シャーリップ、レミイ・チャーリップ、レミ・チャーリップと異なる。外国人名のカナ表記がバラバラになり、どれが正しいのかわからない。このようなことを「表記のゆれ」という。最近のコンピューターは賢くて、どれを検索しても統一典拠があってヒットする仕組みになっているらしい。むかしの目録カードの時代は参照カードをつくらなければならなかった。いっそのこと原綴から検索する方法が合理的であるが、公共図書館では市民にそれを望むことは無理である。Shakespeareとアルファベットを正しく入力できるだろうか。

 「デカメロン」のボッカチオは最近の表記は「ボッカッチョ」である。「青い鳥」のメーテルリンクにはメーテルランクという表記がある。「オズの魔法使い」で有名なライマン・フランク・バウムもいつまでも統一されない1人だ。バウム(集英社)、バーム(講談社)、ボーム(早川書房)。wikiではボーム。古代ギリシア喜劇詩人アリストファネスかアリストパネスか。同じ岩波文庫でも異なる。「鳥」(アリストパネス)、「アカルナイの人々」(アリストファーネス)、「女の議会」(アリストパーネス)、広辞苑は「アリストファネス」、wikiでは「アリストパネス」だ。イタリアの博物学者ユリシーズ・アルドロバンダス(1522-1605)をwikiで検索したが見つからない。「ウリッセ・アルドロヴァンディ」だった。やはり統一することは難しい。

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