スペイン風邪 1918-1920
日本で米騒動の勃発した1918年は、春から世界で流行していたスペイン風邪が秋になる日本でも猛威をふるい、肺炎や心臓病を併発して死亡する者があいついだ悲惨な年でもあった。そして世界中で約2500万人が死亡したと推定され、これは第一次大戦の死者をはるかにしのぐ数字だった。
地球上の住民の約半数が罹患したとまでいわれるこのスペイン風邪は、この年の早春、アメリカの兵営で発生し、4月に第一次大戦のフランス戦線に伝染、同月末にスペインに広がって、5月末になるとアルフォンソ国王、首相以下の閣僚も感染した。6月にイギリスに移って「スペイン風邪」と名づけられた。
日本でも春ごろから流行、初秋には死亡率が激増した。東京市内の4つの火葬場は満員で、看護婦は不足し、多数の鉄道関係者も罹患して輸送に不便をきたすありさまとなる。このスペイン風邪による死者は日本だけでも45万人に達する。スペイン風邪で亡くなった著名人はクリムト、エゴン・シーレ、マックス・ウェーバー、アポリネール、徳大寺実則、大山捨松、辰野金吾、島村抱月、村山槐多、折田彦市など。(参考:速水融『スペイン・インフルエンザ 1918-20』藤原書店)
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