1ドル紙幣に描かれた謎の目の正体は?
アメリカの1ドル札には、正三角形に囲まれた1つの目が描かれている。これは、キリスト教絵画にもしばしば登場している図柄である。なにやら不気味に見えるが、正三角形は三位一体の図形化であり、中心にあるのはすべてを見通す神の目を表わしている。上部の「アンヌイト・コエプティス(ANNUIT COEPTIS」は「神は我々の取り組みを支持する」という意味である。
古代エジプトでは、三角形は太陽信仰と結びついており、ピラミッドからもわかるように文化や芸術に多く取り入れられてた形である。一方キリスト教文化においては、三角形はその教義と切り離しては考えられない。父と子と聖霊の三位一体を表わしているからである。ルネサンスの画家ヤコポ・ダ・ポントルモの「エマオの晩餐」(1525年)にも中央キリストの上に神の正三角形の光背が描かれている。当初は三位一体を表わす三連顔が描かれていたが、後に手を加えて、神の目を持つ三角形(プロビデンスの目)によって隠してしまった。その理由は明らかではないが、カトリックの歴史の中で異端的な表現が禁止された時期と関連があるのかもしれない。
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