無料ブログはココログ

« レルヒ少佐とゼッケン | トップページ | ブルーマウンテンの謎 »

2016年1月12日 (火)

家庭は道徳の学校

   毎年1月、2月には全国各地で「ペスタロッチ祭」という教育関係者の研究大会が催されることが多いが、それはスイスの教育者ヨハン・ハインリヒ・ペスタロッチ(1746-1827)の生誕(1746年1月12日)と命日(1827年2月17日)に因んでのことである。ペスタロッチの教育実践は我が国の教育界では広く知られるところであり、岡山県苫田郡鏡野町ではスイスのイフェルドン市と友好憲章を締結し、町立図書館を「ペスタロッチ館」と名づけ、ペスタロッチの銅像を建てている。1階には7万冊の開架室がある。

    ペスタロッチに「家庭よ、なんじは道徳の学校なり」という名言があるそうだが、なるほど道徳や礼儀は子どもたちが学校教育を受ける以前から家庭で両親から教えられるべきものである。「チャーリーとチョコレート工場」(ティム・バートン監督)というファンタジー・コメディー映画を観たが、西欧諸国では教育の基本は家庭のしつけであり、「子どもは見られるものであって、聞かれるべきものではない」という厳格なしつけの大切さを確信していることに感心させられた。

    原作はイギリスの作家ロアルド・ダールの「チョコレート工場の秘密」。主演のジョニー・デップが工場長に扮し、「シザーハンズ」のティム・バートンとコンビを組んだ楽しい映画。しかし中味はなかなか辛口である。日本語吹き替えなのですべてのパロディを理解できないが、子どもも大人も楽しめ教訓も含まれるおすすめの映画だ。

   ここで夢のチョコレート工場に招待される5人の子どもたちを紹介しよう。最初の当選者は何よりも食べることが大好きな肉屋の肥満少年、オーガスタス・グループだった。彼はチョコレートを食べまくって、ゴールデン・チケットを手に入れた。2番目の当選者はナッツ工場の社長令嬢ベルーカ・ソルト。父の財力にものをいわせてチョコレートを買い占めた。かんくしゃく持ちの何でもすぐに欲しがるわがまま娘。3番目の当選者は、あらゆる賞を獲得することに執念を燃やす熱血少女バイオレット・ボーレガード。今はノンストップでガムをかみ続ける世界記録に挑戦中だ。勝つことにこだわり、チャーリーを「負け犬」と言っている。4番目の当選者は頭の良さをひけらかす凶暴なハイテクおたくの天才少年マイク・ティービー。彼はチョコレートの製造年月日と気候による増減と日経平均(ウソ)からチケットのありかをつきとめた。年に一度しかチョコレートを買ってもらえないチャーリー・バケット(フレデイ・ハイモア)には当選の確立は限りなく低い。彼を愛する両親(ノア・テイラー、ヘレナ・ボナム・カーター)は貧しい暮らしの中から誕生日のチョコレートをいつもよりはやくチャーリーにプレゼントする。しかし、チケットは入っていなかった。チャリーはその一枚を家族みんなに分けてあげる。(「一杯のかけそば」のパロデイか)今度はジョーおじいちゃんがくれたヘソクリのお金でチョコレートを買うが、やっぱし、チケットは入っていない。すべての望みはたたれたかに思えたが、ある雪の日、チャーリーは道でお金を拾い、チュコレートを買った。(良い子のみなさんは拾ったお金は交番に届けましょう)最後のゴールデンチケットが出てきた。当選の知らせを聞くと、寝たきりだったジョーおじいちゃんは、急にベットから起き上がり、元気いっぱいに飛び跳ねた。いよいよ工場見学の日。工場の前に5人の子どもたちと同伴者が並ぶ。そこについに伝説人物、ウィリー・ウォンカが現れる。前髪そろえのオカッパ頭にシルクハット、顔を白く塗った彼はエキセントリックな印象だ。ウィリーは子ども時代に歯科医である父(ドラキュラ役で有名なクリストファー・リー)から虐待に近い躾を受けて育ったためトラウマになって、現在もペアレンツ(両親)という言葉を口にできず、フラッシュバックを起こすアダルトチルドレンなのだ。そして子どもたちが案内された工場内で起こる奇妙な出来事で、わがまま放題の子どもたちが一人、また一人と消えていく…。そして最後に残ったのは良い子のチャーリーだけとなった。ウォンカは工場は君にあげるといい、家族は大喜びするが、チャーリーは家族が世界で一番大切なものだ、といいウォンカの申し出を断わる。家族の素晴らしさに目覚めたウォンカは、父親を訊ねる決心をする。再会したウォンカの父親は息子との再会を喜び、ふたりは長年のわだかまりを乗り越えることができた。チャーリーのおかげで家族の大切さを知ったウォンカは、結局、チャーリーに工場を譲ることになり、ふたりはチャーリーの家の食卓で温かい食事と家族の愛に包まれながら、新しいお菓子作りに夢をふくらませるのだった。「チャーリーとチョコレート工場」には「不思議の国のアリス」「オズの魔法使い」あるいはディケンズの「クリスマスキャロル」などという古典、教訓を盛り込んだ楽しいファンタジーの系譜がきっちりと生きている。発想の奇抜さ、新鮮さと時代遅れのギャグとパロディという相反する要素をおもちゃ箱に入れてそれをひっくり返す楽しさ、ハリウッドとビクトリア朝イギリスの厳格主義の合作、とても日本人には真似できないジャンルであろう。

 

« レルヒ少佐とゼッケン | トップページ | ブルーマウンテンの謎 »

「人生訓」カテゴリの記事

コメント

見ました。ジョニー・デップがノリに乗ってる頃の作品ですよね。アクの強い子供達の中に貧しいけれど天使のようなチャーリー。欲深い者には厳しいお仕置きがなされ、純粋無垢で善良なチャーリーが幸運をつかむ。孤独で偏屈なウィリー・ウォンカも暖かい心を取り戻し、見終えて楽しい気分になれました。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« レルヒ少佐とゼッケン | トップページ | ブルーマウンテンの謎 »

最近のトラックバック

2017年12月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31