歴史秘話ヒストリアSPあの名言にはウラがある
30日NHK放送「歴史ヒストリアSPそれってホント?歴史の名言」を見る。「パンがなければケーキを食べればいいのに」という言葉は王妃マリー・アントワネットの言葉として広く知られている。ここで言われているケーキとは「ブリオッシュ」。パンよりも、バターと卵を多く使っている贅沢なお菓子。現在はパンとして扱われているが、当時はクロワッサンのようなケーキとして扱われていた。しかし、この言葉をアントワネットが発したという記録は残っていない。アントワネット以前からすでにあったもので、捏造であることが判明している。番組ではジャン・ジャック・ルソーの「告白」の一文をとりあげる。
とうとうある王女がこまつたあげくに言ったという言葉を思い出した。百姓どもには食べるパンがございません、といわれた。「ではブリオシュを食べるがいい」と答えたというその言葉である。
この本が出版されたとき(1769年)、マリー・アントワネットはまだ14歳で、「ある王女」にはなりえないのは明らかである。この名言を巡る考察は、ウィキペディア「ケーキを食べればいいじゃない」に詳しい。(Brioche,Marie Antoinette)
戦国時代、天下一の軍団と怖れられた甲斐の武田信玄。その本陣に掲げられていた軍旗に書かれている四文字「風林火山」は、中国の兵法書孫子から用いたとされる。だが、孫子にはこの続きがある。「知り難きこと陰の如く、動くこと雷霆の如く」とある。つまり「味方の戦略は暗闇の中のように敵に知られないようにし、兵を動かすときは雷のように激しくなければならない」という意味である。なぜ信玄がこの二文字、「陰」と「霆」を除いたのかは、はっきりしないが、番組ではそこに信玄の戦術の核心をみている。すなわち機密性の保持が重要だということ。この解釈はなかなか的を射ているように思う。
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