古く美しきもの 先史時代より紀元6世紀に至る
人類学・考古学によれば、人類が地上に現れたのは約440万年前とも700万年前であるとも言われている。その後何十万年という長い歳月のうちに人類は徐々に自由になった手で石を用いて道具を作りはじめた。この時代を考古学では旧石器時代と呼んでいる。その中には早くも左右均等を保った美意識によって形どられたものが見られる。人類の造形活動はこのように道具を用いるようになったときにはじまったと見てよいが、そこには未だ純粋な意味での美術作品のようなものは見られない。先史時代人の造形が現代人の美的観賞に価するようになるのは旧石器時代後期、すなわち紀元前3万年から前1万年にかけてである。メソポタミアやエジプトに文明が起こり、美術が誕生したと言ってよい。
打製石器や細石器、土器などの実用品や装身具ではなく、美術品といえるものとしては、高さ11cmの愛らしいスティアトパイクス(臀部突出)型の女性像として「ヴィレンドルフのヴィーナス」がよく知られている。1908年に考古学者ヨーゼフ・ソンバティ(1853-1943)がオーストリアのヴィレンドルフ近くの旧石器時代の遺跡で発見した。この像は、多産と子孫の繁栄の護符として、膣に挿入するようにデザインされたと考えられている。前25000年。
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