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2015年10月23日 (金)

スタインべックとコールドウェル

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   アメリカの1920年代は繁栄と享楽の時代であり、この時代を代表する戦後派の「失われた世代」の作家たちは、戦争による幻滅感に立ち、だいたい社会的関心が薄い。これに反して、1930年代は1929年の経済大恐慌の後を受けて、不況不安の時代であり、社会的関心が強い。このような時代は「マルクス的30年代」とか「アメリカの赤の時代」といわれて、アメリカの思想傾向が個人主義から社会主義への方向をとりはじめたころである。文学の世界でいえば、スタインベック、コールドウェル、ウルフ、ファレル、サロイヤンたちが、アメリカ30年代作家として登場してきた。しかしながらスタインベック、コールドウェル、ジェイムズ・ファレルたちは、決して本当の意味でのマルキストではなかった。また、「失われた世代」のドス・パソスの「USA」(1930-1936)、シンクレア・ルイスの「独裁迫る」(1935)、へミングウェイの「持てる者と持たざる者」(1937)において階級の対立を描いたりしたのは、やはり時代の影響であった。

Afraf00z   ジョン・アーンスト・スタインベック(1902-1968)は、カリフォルニア州サリナスに生まれた。父はドイツ系で郡の出納吏、母はアイルランド系で小学校の教師をしていた。夫婦共稼ぎの家庭は裕福ではなく、彼はハイスクール時代から農場の手伝いなどをしていた。1920年から26年にかけてスタンフォード大学に在籍したが、学費に不自由しがちで、ついに退学した。「黄金の杯」「天の牧場」「知られざる神に」など初期の作品は世にしられなかったが、「トーティーヤ平」(33)によって、作家として認められるようになった。「勝算なき戦い」(別表記に「勝敗のわからなぬ戦い」)は、いまなお英語で書かれたストライキ小説では最優秀作の一つである。「二十日鼠と人間」「長い谷間」を発表した頃から注目を集めはじめる。大干ばつと耕作機械によって土地を奪われた農民たちのカリフォルニアへの旅を描いた「怒りの葡萄」(39)によってピュリッツァー賞、全米図書賞を受賞した。1962年、ノーベル文学賞を受けたが、国内の批評家からの評価は必ずしも高くなく、晩年の生活は決して恵まれたものではなかった。人間の絶望や生命の悲しみをテーマとした作品が多く、「二十日鼠と人間」「怒りの葡萄」「エデンの東」など映画化された作品も多い。

Caldwell_2     題材や態度の上で、スタインベックと似かよっている作家としてアースキン・プレストン・コールドウェル(1903-1987)がいる。コールドウェルは、ジョージア州モアランド郊外で生まれた。父は改革長老派教会アソシエーションの聖職者。労働者に共感し、普通の労働者達と過ごした経験をもとに、資本主義の重圧のもとにあえぐ南部の貧農を描いた。彼の代表作「タバコ・ロード」(32)「神の小さな土地」(33)などは、いずれもどん底生活の農民の無知貪欲、そしてむき出しな肉欲を戯画的に写実しているが、その根底には貧困をもたらす悲惨な生活を告発する社会批判がある。短編「上る太陽にひざまずけ」のように、強い調子で社会批判を打ち出した作品もあるが、「神の小さな土地」「よごれた土地」などの代表作を生かしているのは、むしろゆたかなユーモアである。(John Steinbeck,Erskine Caldwell)

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