クレオパトラが愛した花 バラ
クレオパトラ女王は華やかなバラを愛したという。古代エジプトではバラは聖なる花とされた。すでに紀元前1200年頃には香油作りに不可欠な花となり、古代ギリシアの儀式にも用いられていたとされる。このときのバラは、ダマスクスローズと推測されている。
バラの姿を伝える最古の文学作品は、紀元前9世紀の詩人ホメロスが残した「イリアス」「オデュッセイア」のなかで、トロイ戦争で戦死した勇者の亡骸は、バラの油を塗られて永久に保存されたのであった。紀元前7世紀、ギリシアの女流詩人サッフォーは「もしゼウスが野原に咲く花々のなから支配者を選ぶとしたら、バラが花々の女王にふさわしい」と、バラに最大級の賛辞を与え、抒情詩人アナクレオンは「恋の花、愛しい花」と詠った。やがて、一重咲き、八重咲きなどのガリカ系やアルバ系のバラは、ギリシアの植民都市だったローマへ伝えられ、あらゆる家の中庭でバラが栽培され、貴族は家中をバラの花で飾りたて、花弁をワインに浮べた。クレオパトラはエジプトにシーザーやアントニウスを迎える時、宮殿全体をバラで飾り、廊下にはバラの花びらを敷きつめて歓迎した。また彼女はバラの花びらを浮かべたバラ風呂を楽しんだと伝えられる。紀元1世紀の皇帝ネロにいたっては、晩餐の席をバラの花で埋め尽くし、天井から花びらの雨を降らせて客を迎えたという。
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