ミュージカル物語
ニューヨークのマンハッタン28丁目のブロードウェイと6番街に挟まれた一角をティン・パン・アレー(錫鍋小路の意)と呼ぶ。この辺りはブロードウェーのミュージカルの音楽に関する会社が集まっていて、まるで鍋釜でも叩いているような賑やかな状態だったことからついた呼称である。1930年代、フレッド・アステアはジンジャー・ロジャースとコンビを組み、本格的なミュージカル映画の土台代がつくられた。40年代になるとMGMはジュディー・ガーランドやジーン・ケリーらによってミュージカル黄金時代を築いた。「若草の頃」(画像)、「イースター・パレード」、「雨に歌えば」、「スタア誕生」。「巴里のアメリカ人」や「恋の手ほどき」ではアカデミー作品賞を受賞する。ロジャース&ハマースタインは「オクラホマ」「略奪された七人の花嫁」「王様と私」などの名作を残した。しかし1960年代後半から商業的失敗が相次ぎミュージカル映画は退潮する。
これまで日本では歌手を主役にした音楽映画はあるものの、ミュージカル映画というジャンルが育つことはなかった。かつて日活が石原裕次郎で「素晴らしき男性」(1958)という意欲的大作を公開したが、観客の失笑を買う結果となって以降、ほとんど本格的ミュージカル映画が作られることはなかった。最近では周防正行監督「舞妓はレディ」(2014)があるが、音楽性やダンスには見るべきものがなく失敗作に終わった。
ミュージカル映画略年表
1934 コンチネンタル コン・コンラッド、マックス・スタイナー
1935 トップハット アーヴィング・バーリン
1936 ショウボート ジェローム・カーン、ロジャー・イーデンス
1939 オズの魔法使い ハロルド・アーレン
1944 若草の頃 ロジャー・イーデンス、ジョージ・ストール
1945 錨を上げて ジョージ・ストール
1948 イースター・パレード アーヴィング・バーリン
1949 私を野球につれてって アドルフ・ドイチェ
1949 踊る大紐育 レナード・バーンスタイン
1951 巴里のアメリカ人 ジョージ・ガーシュイン
1952 雨に唄えば ナシオ・ハープ・ブラウン
1953 バンドワゴン アドルフ・ドイチェ
1954 略奪された七人の花嫁 アドルフ・ドイチェ、ソール・チャップリン
1954 スタア誕生 レイ・ハインドルフ
1955 オクラホマ ロジャース&ハマースタイン
1956 王様と私 ロジャース&ハマースタイン
1958 恋の手ほどき アンドレ・プレビン
1961 ウエスト・サイド物語 レナード・バーンスタイン
1964 メリーポピンズ アーウィン・コステロ
1964 マイ・フェア・レディ フレデリック・ロウ
1965 サウンド・オブ・ミュージック リチャード・ロジャーズ
1968 ファニー・ガール ウォルター・シャーフ
1968 フィ二アンの虹 バートン・レイン
1969 ハロー・ドーリー ジェリー・ハーマン
1971 屋根の上のバイオリン弾き ジョン・ウィリアムズ
1972 キャバレー ジョン・カンダー
2008 マンマ・ミーア ベニー・アンダーソン
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