パルテノン神殿は白くなかった!?
ギリシアのアクロポリスの丘に立つパルテノン神殿はアテネ市の守護神であるアテナ女神を祀るだけでなく、市民たち自身の記念建造物でもあった。前480年、旧堂はペルシア軍によつて破壊されたが、復興事業により、前447年から建設が始まり、前438年に完成した。現在は白亜の神殿であるが、かつて神殿の上層のモニュメントには色鮮やかな彩色がほどこされ、装飾などは前431年まで続けられた。現在のCGで復元画像が公開されている。
昭和34年夏、辻邦生は初めてアテネのパルテノン神殿を見る。それを見た瞬間、辻は文学的啓示を与えられたという。「秩序をつくり上げることが芸術の目的で、日常のぼくたちの現実は、いわば秩序に対する混沌としたもの、形はあるし、刻々と偶然の様々な要素によって変わってはいくけれども、最終的にはそれを乗り越えてそれを秩序づけることが芸術の仕事であり、それが美というもののあり方なんだということを、説明抜きに、そのときの直感で感じました」(「言葉の箱」)とある。西洋美術の根源にふれた辻は、美の秩序を意識したとき、突如小説が書けるようになった。(Parthenon、世界史)
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