タイトルが1文字だけの本
大槻あかね作「あ」。こどものとも年中向き226号(2005年1月号)。
タイトルが「あ」の1文字だけ。針金でできた小さな人が出かける。コップに会ったり、ポットに会ったり、マヨネーズのケースに会ったり、みみかきに会ったり。そのたびにその人は、まねをして「ひょ」と腕をあげたり、「よ」と逆立ちをしたりする。蚊取り線香の上を走ったり、ファスナーの上をすべるったり、ページとともに身の回りの物たちとその人との楽しい出会いがたくさんにある。日本で発行された本を書名の五十音で並べたとすると、一番最初にくる本です。
澤井啓夫の漫画「ボボボーボ・ボーボボ」はボ1文字が7回使われるが、稀なケースである。ネーミング法において、「バーバパパ」の影響を受けていると思われる。漢字1文字の小説は多い。芥川龍之介の「鼻」がいちばん有名だろう。夏目漱石「門」、森鷗外「雁」、山本有三「波」「風」、長塚節「土」、徳田秋声「黴」、島崎藤村「春」、谷崎潤一郎「卍」「鍵」、司馬遼太郎「峠」、中上賢次「岬」、丹羽文雄「顔」、宮尾登美子「蔵」「櫂」。綱淵謙錠には「斬」など48作が漢字1文字。夏目漱石「こころ」は自身が装丁した単行本の外箱の背には「心」と漢字1文字が施されている。
« 太宰治の筆名は同級生の姓からつけたらしい | トップページ | 鳳仙花 »
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 紙の寸法の話(2023.03.17)
- 冨山房と坂本嘉治馬(2019.03.23)
- どんな本を読もうかな?(2018.10.26)
- 戦地の図書館 海を越えた一億四千万冊(2018.08.13)
- 素敵な本との出会いを求めて(2018.03.18)
コメント