白旗の少女
昭和20年4月、沖縄本島にアメリカ軍の艦砲射撃が始まった。当時、7歳だった比嘉富子(1938年生れ)は数カ月間、逃げまわり、多くの戦死者、自殺する兵隊や集団自決する住民などを目にしながらさまよい歩いた。ある日、洞窟(ガマ)に住む身体の不自由な老夫婦に出会う。老人は「世界中の約束だから、これを持ってれば大丈夫」と褌で白旗を作ってくれた。6月25日のこと。少女は白旗を持ちながらアメリカ兵に近づくと、1人の米兵はカメラのようなものを構えた。戦後何年も経ってから、自分の幼いときの写真が世に出たことに気付いたが、富子は名乗り出ることはしなかった。そして長い沈黙のすえ、富子がその写真が自分であると名乗り出たのは49歳のときだった。撮影したのは米陸軍戦闘カメラマンのジョン・ヘンドリックスだった。
「女性」カテゴリの記事
- 龍馬の婚約者「千葉佐那」(2024.10.15)
- 岸壁の母(2022.12.17)
- 宇治原はスカーレット・ヨハンソンを知らなかった(2018.12.01)
- ファニイ・フェイスの時代(2020.04.16)
- 活動的なファーストレディ(2023.07.08)
コメント