太宰治の筆名は同級生の姓からつけたらしい
太宰治の最初の筆名は本名の津島修治に近い、「辻島衆二」。やがてマルキシズムに傾倒するや、「小菅銀吉」、「大藤熊太」という労働者風な名前に変えている。太宰治という筆名をつかったのは「海豹」に発表した「故郷の話?田舎者」という短文からであり、小説としては「列車」(1933年)からである。この筆名の由来には多くの説がある。
①フランス学者太宰施門の姓
②弘前高校時代の同級生、太宰友次郎の姓
③九州の大宰府から
④本名が「つすましゅうず」と津軽弁になるので、訛らずにいえる名前を考案した
⑤万葉集の中の「太宰権帥大伴」
⑥「デカダニズム(退廃主義)」を並べかえる
⑦「ダーザイン」(現存在の意のドイツ語から)
⑧「ダダイムズ」から
太宰治の筆名でよく取り上げられるのは、女優関千恵子のインタビューの中で、「格別に由来なんてないですよ。(中略)万葉集をめくっていて、(中略)これがいいってわけで、太宰。修治は、どちらも、おさめるで、二つはいらない。それで太宰治としたんです」と答えている。美知子夫人も結婚当初に聞いた話でも太宰は同じような事をいっている(『回想の太宰治』)
では本当に「万葉集」から採用したのであろうか。実は、一番有力な説は②の太宰友次郎の姓からだそうだ。本当は、太宰という筆名は同級生からとったものだが、それでも格好が悪いと考えて、後から「万葉集」からということを思いついたものらしい。
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