三年、庭を見ず
董仲舒(前176-前104)は広川県(河北棗強東)の人で、公羊学を修めて景帝のとき博士に用いられて、武帝に重用され、彼の意見によって五経博士を置き、儒教によって思想界を統一する方針が採用された。
董仲舒は帷を下ろして講義し誦読していたため、弟子たちは学業を古参の弟子から次々に伝え習うようになり、したしく師の顔を見たことのない者さえあった。
また一室にとじこもり、3年間、自宅の庭さえも出たことがなかったといわれるほど、学問に精励した。たえず書物のことが頭にいっぱいで、馬にのっていても牝牡いずれかも気がつかなかったといわれるほどの好学ぶりであった。(「漢書」列伝)
この逸話から「三年、園をうかがわず」という言葉は、世間の事から遠ざかって、学問に没頭することをいう。
この故事からもわかるように、董仲舒には、目をつぶって世の中の変化を見まいとする姿勢がみえる。「道の源は天より出ず。天は変わらず、人も変わらず」と。春秋繁露に説く「三綱五常」は、永遠不変の原理だという。「世は変わるもの」とする法家とは対立する。
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