いかめしい書名が好き
夏目漱石の「薤露行」。アーサー王伝説を題材とした短編小説で「かいろこう」と読む。タイトルの「薤露」は「ニラの葉上が渇きやすいように、人生は儚い」という中国の古楽府にあり、「薤露行」とは「貴人の棺に送る挽歌」という意味。永井荷風「断腸亭日乗」は「だんちょうてい にちじょう」。断腸亭とは腸に持病があるから、日乗は日記、日録。「乗」は記録の意。榎本其角編纂の俳諧撰修「虚栗」は「みなしぐり」と読む。謡曲「善知鳥」は「うとう」と読む。
書名は大事だ。書名のつけ方ひとつで売れる売れないが決まるかもしれない。もちろん内容がとてもよければ関係ない場合もある。しかし大方は書名で売れ行きは左右される。最近は、キャッチコピーが本書名になって、書名はサブタイトルになるケースも多い。だが専門書などは逆に長いくて漢字がズラリと並ぶと厳めしく価値がありそうに見えてくる。たとえば漢字15文字オーバーは一寸著書の気合がうかがえる。
「道徳形而上学原論」 カント
「価値倫理学と実存倫理学序説」 田中熙
「アメリカ占領時代沖縄言論統制史」 門奈直樹
「幕末・明治期の国民国家形成と文化変容」 西川長夫、松宮秀治
「小倉藩御用商行事飴屋盛衰私史」 玉江彦太郎
「唐船進港回棹録・島原本唐人風説書・割符留帳」 大庭脩
「土佐藩元禄大定目の法政史的研究」 庄野隆
「奇兵隊反乱史料脱隊暴動一件記事材料」 石川卓美・田中彰編
「価値と価格の理論の数学的研究」 フィッシャー
「輟畊録・資暇録・希通録・羣碎録」 古典研究会
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