マクンバの呪い
サンバという踊りは日本でもよく知られるようになったが、ブラジルにはマクンバという邪教がある。奴隷時代、アフリカ西海岸から連れてこられた黒人たちが持ち込んだ伝統宗教とカトリック信仰とが習合してマクンバが生れた。つらい生活を忘れるために歌い、踊ることから生れたのがサンバであり、祈ることで白人に対する憎悪をむき出しにしたのがマクンバである。「マクンバにかけられる」という言い方があるように、一種の呪いの儀式である。パワーの強いマクンベイロ(呪術師)にかけられるとなかなかこの呪いが解けない恐ろしい邪教なのだ。ブラジルでは今でも、大きなお皿に、鶏の死骸などが道端に置かれていることがある。これがマクンバである。
このマクンバが近頃では日本にも侵入していることをネットで知った。家を訪問した人から、1枚は葉っぱをもらい、それを軒などに飾っておくと金運がアップするというのだ。葉を「フォルトゥーナ」Fortuna、ローマ神話の運命の女神のことで「幸福」という意、ポルトガル語では大金、財産という意味があるらしい。釘で壁に打ち付けておくと、根が伸びて成長も早い。このように深く静かに身近な生活の中にマクンバの呪いが広がっている。macumba
参考文献:鈴木一郎「密教マクンバ 文明の中の秘境」 読売新聞社 1974
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