ミナミを制するものが大阪を制す
1912年7月3日、天王寺に新世界ルナパークが開場、通天閣が完成した。東京スカイツリー(高さ634m)に高さで及ばないが大阪名物はいまでも通天閣(高さ103m)。現在私たちが見ている通天閣は1956年10月28日に建てられた2代目通天閣である。大阪はキタと呼ばれる梅田の繁華街、淀屋橋のオフィス街と、ミナミと呼ばれる難波、心斎橋、天王寺に区別される。大阪駅はキタにあるが、実は大阪のほんとの真ん中は通天閣を中心としたミナミである。大阪を制するにはミナミを支配しなければならない。橋下の敗因はここにある。
昨日実施された大阪都構想の賛否を問う住民投票。僅差ながら市民は「現状維持」を選択した。これに対して、若者たちから「老害」と揶揄するツイートや橋下への判官贔屓が目立つ。出口調査で60代超は過半数が反対を投じたといわれる。負け犬たちが高齢者を批難するが、むしろ敗因は低所得者が改革に不安を感じたからではないだろうか。
はっきりと投票傾向がみえる。青が「賛成」、赤が「反対」である。つまり、比較的生活に余裕のある層は、改革的なムードに共感をおぼえたが、反対に所得の低い層は改革に拒否反応を示した。人民は貧しさの中で、理想や目標よりも、その日の晩飯の心配をするものである。貧し過ぎると人々はかえって保守的なり、革命や改革は起こらない。大阪は商業の町であり、自分にとって今現在、損か得かの基準で究極の判断を下したのである。高齢者だけを責めるのは見当ちがいである。
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