独歩の末裔
明治の詩人・小説家の国木田独歩の名声は、はじめは微々たるものであったが、晩年には大いにあがり、死後は「文豪」と称する例さえ出た。独歩に対する評価は、死後から現在まで安定しつづけている。この薄倖なる詩人は、10年の間、人に認められなかった。認められて僅かに3年にして死去した。朝ドラ「花子とアン」で葉山蓮子の夫宮本龍一を演じる俳優・中島歩は独歩の玄孫だという。「土曜スタジオパーク」で独歩の玄孫と紹介されると、宮崎美子が「見る目が変わっちゃう」と。日本文学史など国語の教科書で扱われる人物の家系である。玄孫は、子、孫、曽孫、玄孫だから、独歩を一代目とすると、中島歩は五代目となる。2人の写真を並べてみると、似てなくもない。独歩は1908年に36歳で没しているが、100年の間に数人の作家、詩人、彫刻家、女優、モデル、俳優が出ている。ただし成功した者は一人もいない。後妻の国木田治子(1879-1962)は女流作家をしながら、貧乏暮らしに耐え貞子、虎雄、みどり、哲二とよく4人の子供たちを育てた。中島歩やモデルの国木田彩良が4人の子のうちどの系統なのかは明らかではない。長男虎雄の息子が俳優の三田隆。「午前中の時間割」の国木田アコは三田の娘。経済的にも恵まれなかった独歩の生涯や作品からは青春の苦悩や悲哀を感じるが、その末裔には何か憑き物を払った明るい人生を期待したい。
略系図
独歩ー虎雄ー篤夫ー○ー中島歩
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