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2015年4月10日 (金)

小笠原流接吻

   「特命全権大使米欧回覧実記」の編著者、久米邦武(1839-1931)は謹厳痩躯で、仲間から「久米の仙人」といわれるほどの堅物であった。漢学の素養が深く、名君といわれた鍋島直正の近習として仕えていたこともあり、その推輓で、この使節団の一員に加わった。使節一行にとって旅は珍しいものの連続であったが、とりわけ男女の風俗には目を見張るものがあった。会食の後は必ずといっていいほどダンスが行われた。独身女性や人妻が他人の男と抱きあい、手を握りあって踊る姿はどうみても異様であり合点がいきかねた。また一行はボストンの港で異常な光景を目の当たりにして唖然としている。というのは同乗して英国に渡っていく男たちが、それを見送りにきた婦人としっかり抱き合って接吻し、離れない情景を見かねたからである。久米は目の置き所に困って思わずぐちる。「公衆の面前であまりに厚かましいではないか」すると西洋通の仲間がそれを受けて、「いやいやさようなものではない。彼らは公衆の中、とくに日本大使の眼前なので念入りに小笠原流の接吻をしているのだから、敬意を表して見てやるのが礼儀である」と茶化している。

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