諸葛孔明(世界史ヒーロー伝)
諸葛亮(181-234)。山東の琅邪国陽郡の生まれ。日本では字の孔明をとって、諸葛孔明と呼ぶことが多い。孔明に関しては神仙術を使うので神秘的なムードで容貌の明確な記述はない。ただ「蜀志」諸葛亮伝によれば身長は8尺あったという。当時の1尺は23.75cmなので190cmの美丈夫である。ただし英雄像の一つの条件が高い身長なのであまりあてになる話ではない。
孔明とはどんな人物であったのか。三つの有名なエピソードでみてみよう。まずは「三顧の礼」。ここからは孔明のきわめて慎重な性格がうかがわれる。また一度決心をしたら自分の生死をかけて劉備に仕えようという固い決意が読みとれる。次に「出師の表」。あくまでも自分の大義を貫こうとし、才能を尽くして、人の上に立つ指導者としての責任感の強い人であることがわかる。「泣いて馬謖を斬る」。街亭において馬謖は孔明の指令に反して大敗した。孔明は軍律にてらし馬謖を斬った。ここから孔明の信賞必罰、私情を殺して軍律を守りとおすという厳しい性格の一端が表れている。以上、三つのエピソードから、己に忠実であり、いつも自己を信じて行動するという強い精神の持ち主であることがうかがわれる。一貫しているものは孔明のプライドの高さであり、高潔な人格なのである。今日も孔明が人気なのは、行動、発言にぶれがないのがリーダーとしての理想像としてみられるからであろう。
参考:植村清二「諸葛孔明」 中央公論社
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