レニーンの帽子
ロシアの革命家レーニンの写真をみるといつも帽子をかぶっている。ロシアは寒冷地で禿頭にはこたえるから防寒用のためであろう。帽子はいつもフェルト製のツバのあるソフト・ハットである。シルクハットや山高帽姿のレーニンを見たことがない。労働者階級を象徴しているともいえる。
近代に入って山高帽が男子用帽子の主流となり、フェルト製造機が1846年に発明されると、急速に普及した。この流行に対して、19世紀半ばから使用され、同末期のアメリカで広く人気を呼んだのが、ソフト・ハットである。映画「怒りの葡萄」でヘンリー・フォンダが被っている帽子である。第二次大戦前頃まで男子が最も一般的に使用していた帽子である。写真で見比べると、レーニンの帽子はやや学生帽に近いタイプで、ヘンリー・フォンダのさらにカジュアルな帽子である。最近、このような帽子を被っている人をみかけることは少ない。
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