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2015年3月28日 (土)

ギリシア彫刻  アルカイック期


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ペプロスとキトンを着たコレー 大理石 アクロポリス美術館

 

    前530年頃から20~.30年間に少女像(コレー)が多数制作された。それはアテネの貴族文化の最盛期をもたらした僭主ペイシストラトスとその子たちの時代にあたる。キトンという薄い麻布でできた衣服の上に、腰をベルトで締めたドリス風のペプロスを着て、両足をそろえて直立し、正面を向いている。キトンはペプロスの襟の上および裾の下にわずかに見えている。ペプロスを着たコレーの例は少ない。左腕は肘を曲げて前方に出し、掌に捧げ物をのせていた。肘から先は欠損。右腕はわずかに肘を曲げてたらし、拳を大腿部の脇へ当てている。頭髪のウェーブは入念につくられる。頭髪、唇、瞳、瞳孔、眉、まつげの彩色が保存されている。着衣と姿勢は古風であり、さらに個々の特徴から前550年頃に「アクロポリスの騎士」(アテネとパリ)の彫刻家の作と考えられる。

   少女の表情については、全身の様式化にもかかわらず、生き生きとしたアルカイック様式で見る者をとらえて離さない。いわゆる「古拙の微笑(古式の微笑 アルカイック・スマイル)」の表現は、実際に笑っているのではなくて、顔面の表情に生命と動きをあたえるため、当時の彫刻家たちが考え出した方法だった。若い男(クーロス)が常に裸体であり、アポロンの神性の一部であるのに対して、若い女(コレー)は着衣で、神殿や神域に立つ奉納像である。

   3世紀アフガニスタンのハッダの仏頭や広隆寺の弥勒菩薩半跏像にも「古式の微笑」がある。ギリシアから発生した技法がガンダーラ、六朝美術、そして7世紀の飛鳥時代の日本の仏像にまで影響を及ぼしたとする説はロマンに満ちているが、それを学術的に論証するのはなかなか難しい作業が伴うようである。

 

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  ハッダ 仏頭 3世紀 東京国立博物館

 

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  弥勒菩薩半跏像 7世紀後半

 

 

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