八百比丘尼の伝説
人は必ず死ぬ。争いの絶えない世の繰り返し。そのいとなみの空しさ。娘は120歳になったとき、剃髪して尼僧となった。そして、諸国行脚の旅に出て、行く先々で歴史を語り、仏の法を説き、杉や椿の樹を植えて、自らの記念とした。また、手にはいつも玉と白い椿の小枝をたずさえていた。
諸国を巡り歩いたのち、尼僧はふたたび若狭へ帰った。そのときすでに八百歳となっていて、八百年の人生を味わい尽くしていた。無を知り尽くしての終焉地であった。それゆえに、人々はこの尼僧を八百比丘尼と呼び、その幼な顔から、童の尼とも称し、また持ち歩く白い椿から、白比丘尼とも言った。
八百比丘尼の伝承は日本各地にある。人魚の肉を食べたため、800歳まで生きたともいわれる。「康富記」や「臥雲日件録」には、15世紀中頃(1449年)に白比丘尼という200余歳の尼が若狭国から上洛し、見世物として料金を取ったという記述がみえる。画像は福井県小浜市の空印寺にある八百比丘尼の像。
「鶴は千年、亀は万年。浦島太郎は八千歳、東方朔が九千歳、三浦大介百六つ」という。架空人物としても八百比丘尼の800歳は長い。中国の彭祖と同じ800歳。
世界長寿一覧(架空人物含む)
常陸坊海尊 430歳
武内宿禰 300歳
トーマス・バー 152歳
景行天皇 143歳
垂仁天皇 139歳
桃林契悟禅師 139歳
孝文天皇 137歳
ジャンヌ・カルマン 122歳
モーゼ 120歳
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