歴史のヒーロー平手造酒
玉川勝太郎の浪曲 「利根の川風袂に入れて」で知られる平手造酒は大酒飲みで肺結核を患う孤高の剣士というイメージがある。講談だけでなく、映画や歌謡曲でしばしば登場した人物なので、彼を実在した人物と思っている人も多いことだろうが、架空の人物である。ただしモデルはいた。関東一の大親分といわれた笹川繁蔵の客分となった手習いの師匠の平田深喜(1809-1844)である。だが手習いの師匠では面白くも何ともないので、講釈師の宝井琴凌が平手造酒という人物を想像でつくり上げ、神田お玉が池の北辰一刀流千葉道場の高弟だったが、酒好きがわざわいして破門され、ヤクザの用心棒となり、喀血しながら何人も斬った、という話にしてしまったらしい。本物は剣ではなく筆の達人だったわけである。(参考文献:「雑学面白ことば」三省堂)
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