坂道の家
松本清張の短編に「坂道の家」がある。小間物店を営んでいる寺島は金を貯めるだけが趣味の中年男だったが、ある日、店に来た若い女に魅せられ関係をもつ。女に言われるままに、坂道を上がったところにある家を買い囲っていた。だが心臓の病気がある寺島には坂道を上るのが苦痛であった。女は寺島の財産目当てに近づき、殺人を計画するという話だった。
日当たりのよい坂道の家は、一見良いように見えるが、重い買い物袋を持ちながら毎日階段をのぼることは健康な者でも負担である。ある医大の研究チームが自殺は傾斜が急な地域ほど高率になると発表している。傾斜が厳しい山間部では、住民の行き来が少なく孤立しやすい環境であることが影響し、精神的に追い込まれる可能性がある、というがその理由である。むかし、仙人は高いところに住んでいる、といわれたが、住む場所を探すのも難しいものである。傾斜といっても、坂道が多い長崎や神戸のような都市部では、ほとんど影響がみられないそうである。
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