エルチェ婦人像
スペインのマドリードにある国立考古学博物館の名品の1つで、古代イベリア彫刻のなかでも、その完成された造形性、精緻な装飾モチーフの表現などによって、最高傑作といわれている。うすい瞼や口唇、端正で冷ややかな相貌には明らかにギリシア厳格様式の影響をみることができる。しかし、その簡潔な相貌に対して、突起文装飾のあるディアデーマ、車輪のように大きく飛び出た頭側両脇の櫛飾り、重々しく豪奢な胸飾りはギリシア的というより、フェニキア系の装飾であり、厳格様式の顔貌とはっきりとした対照をなしている。制作年代に関しては諸説あるが、紀元前5世紀から前4世紀と推定される。また婦人像が女神の像なのか、女祭司、それとも名門の貴婦人なのか、未だ解明されていない。
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