ちょっと古風な日本語
日常の会話や文章に使われる言葉の中には、時がたつにつれ、本来の意味や使い方が忘れられたり、誤って解釈されたりしているものも少なくない。語源を調べると、昔の人たちの息づかいが聞こえてくるようである。
「うだつが上がらぬ」 なかなか出世できない、良い境遇になれない、等の意味であるが、うだつ(卯建、梲)そのものがよくわからない。2階の壁面から突き出した漆喰い塗りの袖壁。江戸時代は火よけ壁とも呼ばれれ防火の役目をしていたが、明治になると防火よりも装飾に変わってきた。裕福な商家は富の象徴として、この「うだつ」を競ってあげた。
「手ぐすねを引く」 十分に用意して機会を待つこと。てぐすね(手薬煉)とは、中世の武士が弓を引くとき、滑らないように弓手に「薬煉」を塗ることである。薬煉は松脂を煮て練り混ぜたもので、弓の弦を強化するために用いた。また日本刀の柄糸を巻くとき、クスネ(薬煉)を塗って糸の滑り止めに用いたことからも「手ぐすねを引く」というこの言葉が生まれたとする説もある。
「琴柱に膠(にかわ)す」 琴柱とは琴の胴の上に各弦に1個ずつ立てて弦を支え、その張りを強くし、また、これを移動して音の高低を調節するのにつかう。琴柱を膠で固定すれば、調子を変化させることができなくなることから、融通の利かないことのたとえとして使われる。
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