山口少佐自決のピストル
明治32年1月、青森歩兵第五連隊の山口鋠少佐が率いる一個大隊が冬季の八甲田山を雪中行軍して殆ど全滅する惨事は小説や映画でよく知られている。しかし新田次郎の「八甲田山死の彷徨」はノンフィクション小説と扱われることが多いが、かなり作者の創作が加えられている。とくに映画で三國連太郎が演ずる山口鋠は悪役として描かれている。実際は温厚な人柄だったといわれる。ラストで山口鋠が拳銃自殺する。陸上自衛隊青森駐屯地の資料館には自殺に使用した拳銃が展示されている。だが公式な資料によると山口少佐の死因は心臓麻痺となっている。「凍傷を負うた指で銃の操作は不可能」という指摘もある。遭難の詳細は、いまとなっては真相は不明だ。カンジキのみで、全く死の山に突入した暴挙を批判されるのを逃れるため軍部は事実を隠蔽した節がある。
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