コーヒーと牛乳(明治事物起源)
文明開化の明治になると、西洋の様々な食べ物、飲み物が入ってきた。牛肉、カレー、パン、ビール、ワイン。そしてコーヒーもその1つ。1888年に鄭永慶(1859-1895)が上野西黒門町に喫茶店「可否茶館(かふえさかん)」を開店した。この店には、本、トランプ、封筒、便箋などが備え付けられ、小説家のたまり場ともなったが、あまり儲からず、1891年には閉店している。日本最初の喫茶店は他にも諸説がある。1876年に下岡蓮杖が浅草に開いたコーヒー茶館、1874年の神戸元町の放香堂、1886年に日本橋で開業した洪愁亭が可否茶館より以前に存在していたらしい。本格的な喫茶店としては、1911年に水野龍が銀座に創業した「カフェー・パウリスタ」、松山省三が創業した「カフェー・プランタン」などがある。
日常のあたらしい飲み物として、コーヒーよりもっと早くに普及したのは、むしろ牛乳であった。牛乳に関しては、その栄養上の理由から、政府もその飲用を奨励したので明治13年には、牛乳会社もでき、また手軽に牛乳を飲むことのできるミルクホールのようなものもつくられるようになった(参考:星田広司「日本最初の喫茶店「可否茶館の歴史」)
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