赤彦と「タヒチの女」
アララギ派の歌人、島木赤彦(本名・久保田俊彦)のペンネームの由来はゴーギャンの「赤い花」の絵を見たから、という話は有名である。しかし、大正初期に赤彦が見たゴーギャンの絵というのはどの絵であろうか?斎藤茂吉によると「島木の名は、八丈島から採って「島の木」とした」とある。つまりゴーギャンに憧れて八丈島へ渡ったことを意味するので、筆名の由来はゴーギャン説と反しないものと解する。「赤彦」の名は、広丘小学校在職中、中原静子との恋愛関係の中から出たものらしい。推測ながら、赤彦が見たゴーギャンの絵とはメトロポリタン美術館所蔵の「赤い花と乳房」という絵ではないだろうか。もちろん赤彦はアメリカへ行ったことはなく何かの本で見たのであろう。
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