タイトルの意味
世の中、意味不明のタイトルの本やドラマは多い。とくに推理小説やサスペンスは中身がわからないほうが興味がそそられるからであろう。松本清張の「霧の旗」。兄の弁護を断わった弁護士に対する女性の復讐を描く。弁護士大塚が愛人と箱根へ密会の旅へ行く。宿で「霧は音をたてて流れるというね」という大塚の台詞があるが、「霧の旗」が何のことかよくわからない。有名な志賀直哉の「暗夜行路」という小説。祖父と母との間に生まれた不義の子時任謙作が、子の死と妻の不義にうちのめされ、伯耆の大山の自然のなかで自己回復をはかる。タイトルは暗夜はいつまでも暗夜ではなく必ず朝を迎えるというテーマで、大山の夜明けの場面が象徴している。ライジングサン。
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