イスラム女性とベール
むかし民族学者の梅棹忠夫が中東方面の旅から帰ってきて日本についたとき、町にあふれる女性の数と、その美しさに、いちばんつよい印象をうけたそうだ。イスラム女性のほとんどは、外にでるとき顔や髪をベールで覆っている。家にあっては、女だけの部屋にこもってしまう。お客があっても顔をみせない。こんな不思議な習慣がどうして発生したのだろうか。ベールを被ることは、イスラム教を起源とするものではない。イスラム以前の東ローマ帝国の時代にすでに上流階級の女性は被っていた。次第にその習慣は、普通の女性と娼婦などとを区別するものとなった。普通の良い女性はベールを被ることになった。この習慣は次第に緩められられる傾向に向かうと思われたが、近年は、エジプトや東南アジアの都市部で近代的生活をしている女性が、あえてヒマールなどと呼ばれる、顔をカトリックの尼僧のように覆う女性が増えている。これを復古主義、イスラム原理主義の勢力拡大とみなす人もいる。
ベールや衣装は国によってさまざまな呼び名がある。「二カブ」「ブルカ」、スカーフのことを「ヘジャブ(ヒジャーブ)」「ジルパブ」、そのほか「チャドル」、「アバーヤ」など。
国民の9割近くがイスラーム教徒のインドネシアでは、カラフルなジルパブが流行している。
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