木簡の長さ
奈良時代から平安時代、紙はまだ貴重だったので通常は木簡が書写の材料として用いられた。長さは20センチから30センチ程度のものが多い。ところが2007年、歌会専用の推定74センチもある長い木簡が存在したことが報道されていた。(朝日新聞2007.11.29)「儀式で長い木簡に和歌を書き、出席者全員で唱和したのではないか」と栄原永遠男教授(大阪市立大大学院)は話している。
ところで古代中国では、木簡の長さに一定の規準があったようである。その長さは、文書の用途や重要度によって異なっていた。六経(易・書・詩・礼・楽・春秋)はすべて2尺4寸、「孝経」は1尺2寸、「論語」は8寸の簡だった。というのは、「孝経」と「論語」は、9世紀に至るまでは、儒教における経典とは見なされていなかったからである。
漢代に用いられた木簡の標準的な長さは、約23センチである。23センチというのは、漢尺の1尺に当たる。木簡の長さが意味をもっている。漢には「尺一詔」(しゃくいつのしょう)という言葉がある。普通の文書が1尺であるのに対して、皇帝の詔は1尺1寸の木簡を使ったことからできた言葉である。「塩鉄論」貴聖篇には「二尺四寸の律」とあり、「史記」酷吏伝には「三尺の法」という言葉もある。律令は長い簡に書かれていたらしい。後漢の劉熙の書いた「釈名」には「槧」(ざん)という文字に「版の長さ三尺のもの」という説明がある。漢代の3尺というと約70センチの長さである。ただし三尺もの長い木札をどのように使われたのかは知らない。
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