イラク北部の中石器・新石器時代の遺跡
文明形成の過程をよくあらわしているのはメソポタミアの遺跡である。長い年月にわたる生活の痕跡が、テベとか、テルとよばれる遺丘の形をとり、層位的に把握できる。シャニダール(前10000年ころ)、カリム・シャヒル(前8000年ころ)の遺跡は原始的な農耕と、粗放な牧畜による、早い段階の村落をしめしている。今日、中石器時代のナトゥフ文化(前10000年-前8000年)と呼ばれている。ジャルモ遺跡(前6800-前5800年ころ)は、それよりも格段に進歩した文化を持っている。もはや季節的な住居ではなく、牧畜をもった家屋が50戸ほどの集落で300人が住んでおり、エンマー小麦・豆類、ヤギ・犬・豚の家畜化がなされ、初期村落共同体に特有の粗製土器のほか、輸入品と考えられる彩文土器があり、すでに原始的な交流がおこなわれていたことをしめしている。その結果、人々は飢えの心配が少なくなり、村落ができて定住生活がはじまる。このような食料生産の開始は、18世紀後半にイギリスではじまった産業革命にもくらべられる大きな変革なので、食料生産革命といわれる。(Jarmo、世界史、文明の誕生) 文献:世界の農耕起源 スチュアート・ヘンリ編著 和田久彦ほか訳 雄山閣 1986
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