この世のものはいつか滅びる
近年、少子高齢化や過疎化で跡継ぎがいなくなり、放置された墓が急増しているという。諸行無常なり。都市も人もいつか滅び消えていく。歴史に興味をもつ人はたいてい古本漁りをするが、貴重な史料文献がこの世から消えていくのは淋しい。シミや濡れ、破れ、年数を経て劣化によって不用となった本は処分される運命にある。いまならデジタル化して残しておくが、むかしは製紙原料業者に引き取ってもらっていた。トラックに山積みになった古本を毎月一回処分する。古書業界では「ツブシ」というが、図書館界ではそのような用語はない。戦前の貴重な史料がその価値を知らず紙屑として業者に引き渡したことが悪夢のように思い出される。棄てられた古書を供養することもなく、自責の念にかられる老司書の晩年である。「この世のものはいつか滅びる」とは言い訳にすぎない。
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