糸杉
ゴッホの題材は、アルル時代の「ひまわり」に対して、パリ近郊オヴェール・シュル・オワーズ時代は「糸杉」(サイプレス Cypress)であった。糸杉はキリストの十字架に使われた木材であることから、古来ヨーロッパでは「死」の象徴である。糸杉はゴッホ自身の死を予感するメメント・モリである。「星月夜」はゴッホにはめずらしい写生ではなく想像力で構成されている。ゴッホは手紙で「汽車に乗って旅するように、死に乗ってどこかの星へいけるはずだ」と述べている。英語Cypressは、ギリシア神話に登場するキュパリッソスKyparissosに由来する。キュパリッソスは大変可愛がっていた鹿を槍で殺してしまい、永遠に喪に服することを神々に願い出たため、神々は彼を糸杉に変えた。
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