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2014年10月19日 (日)

チャップリンの殺人狂時代

Mv_p_58_big  チャップリンといえば「黄金狂時代」「街の灯」「モダン・タイムス」「独裁者」をあげる人は多い。この「殺人狂時代」に関しては評価が分かれる。私もタイトルや粗筋を読んで抵抗感があって未見だった。文明批評の「モダン・タイムス」や反戦色の強い「独裁者」に比べ、戦争による大量殺人をブラック・ユーモアにしているので観衆はややとまどう感じがする。制作が1947年ということで、戦争の傷跡がなまなましい時代、戦勝国アメリカに向かって「いい気になってはいけませんよ」と言っている。さすがにアメリカでは不評だったが、戦場となった欧州ではこの映画を理解したらしい。日本人も1952年の公開時キネマ旬報で「第三の男」を抑えて一位だったが、一般大衆は十分理解できなかったかもしれない。大戦が過ぎて長い年月を経て、幾多の反戦映画があった。わかりやすいお涙頂戴ものが多い。このようなクールにシニカルに戦争を大量殺人として捉えた作品は少ない。チャップリンの思想として地球市民とでもいえるものがあるのだろう。数多く出演している女優(多くは年増)の中で1人若い女優がいる。マリリン・ナッシュという貧しい娘。街でみかけて毒殺の実験台にしようとワインをすすめる。だが娘の身の上話を聞くうちに殺すことをやめる。このシーンが一番気に入った。

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