映画のなかの世界史
映画をみて世界史を知ることも多い。とくにアメリカは、歴史が浅いせいか、古い歴史に対してコンプレックスのようなものがある。20世紀の初め、映画が誕生したとき、しばしば見世物のような歴史劇が多く創られた。とくに聖書の世界や古代エジプトやバビロニアの世界である。D・W・グリフィスの「イントレランス」(1916)では中世フランス、ユダヤ時代、バビロンなどが大がかりなセットで再現された大作だった。セシル・B・デミルの「十誡」(1923)やフレッド・ニブロの「ベンハー」(1924)もシネマ・スコープでリメイクされたが、無声映画もいまでは容易に見ることができる。フリッツ・ラングの「ジークフリード」(1923)はニーベルンゲン物語だがオペラを題材としたものも多い。クローデット・コルベールの「クレオパトラ」(1934)、「ヘンリー五世」(1945)、「成吉思汗」(1951)、「黒騎士」(1952)、「クォ・ヴァディス」(1952)、「ジュリアス・シーザー」(1953)、「聖衣」(1953)、「円卓の騎士」(1953)、「悲恋の女王エリザベス」(1953)、「デジレ」(1954)、「ユリシーズ」(1954)、「異教徒の旗印」(1954)、「エジプト人」(1954)、「バルテルミーの大虐殺」(1954)、「獅子王リチャード」(1954)、「ピラミッド」(1955)、「トロイのヘレン」(1955)、「アレキサンダー大王」(1956)、「ヴァイキング」(1957)、「ハンニバル」(1959)、「ソロモンとシバの女王」(1959)、「ローマ帝国の滅亡」(1964)「ポンペイ」(2014)など美女、英雄などが登場する歴史物は世界中どこでも好まれるジャンルだ。
聖衣
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ハリウッド映画なんかを観てると、欧米人の間では「常識的な歴史的背景」を前提に映画が作られていることが多々ありますが、「一般の日本人にはわからないだろうな」と思う部分をよく見かけることがあります。
以前も、ドラキュラをテーマとした映画で、50年ぶりに目覚めたドラキュラが赤いスカーフをしていたんですけど、それを見た主人公(ドラキュラ)が、「お前、その格好で出歩いてたのか?」と苦笑するシーンがありました。
これは、アメリカの「赤狩り」のことを言っているんですけど、時代背景を知っている私は笑えましたが、隣で観ていた妻はキョトンとしていました。
アメリカ人なら誰でも知っていることでも、「赤狩り」なんて、ふつうの日本人は知りませんもんね。
歴史知識があると、映画もより深く堪能できますよね。
投稿: 世界史ドットコム | 2010年9月 4日 (土) 12時56分