老人力ブームから16年
赤瀬川原平さん死去。享年77歳。
「人はみな長生きしたいと念ずるが、同時に、老人になりたくないと思う」(スウィフト)
「ついに来る道とはかねて聞きしかど 昨日今日とは思わざりしを」
テレビのコマーシャルでは若さを保つサプリメントの宣伝は多い。いつの時代も永遠に若くありたいと人は願う。ところが、赤瀬川原平は「人は老いて衰えるわけではなく、ものをうまく忘れたりする力、つまり老人力がつくと考えるべきである」と述べた。このような加齢を肯定的に捉える発想は世に容れられて、「老人力」は1998年の流行語大賞にも選ばれた。しかし所詮は流行語である。やがては飽きられて使われなくなった。むしろ高齢化社会は厳しさを増し、死亡届けも出されずに行方不明になっている老人が増加している。結局、ブームに便乗した「○○力」本だけが氾濫しているのをみると、出版業の空しさを感ずる。
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