コッポラが「オスカーの呪い」!?
「オスカーの呪い」とはアカデミー賞後、キャリアが下降すること。代表例がマイケル・チミノで「ディア・ハンター」(1978)で監督賞・作品賞を受賞したものの、「天国の門」では全米の批評家たちから酷評を受けた。その後、自由な映画製作ができなくなり、作品を残していない。「天国の門」は219分の大作で映像美に優れ、日本での評価は高い。アメリカ移民の暗部を描いた内容が保守層の反発を買ったといわれる。
70年代から現在に至るアメリカ映画監督といえば、フランシス・フォード・コッポラ、スピルバーグ、ジョージ・ルーカス、ジェームズ・キャメロンと続くが、なんとコッポラも米タイム誌が選んだアカデミー賞を受賞したものの、その後キャリアが低迷している俳優・監督10人のなかに選ばれている。コッポラは「ゴッドファーザー」(1972)の後も「地獄の黙示録」「ワン・フロム・ザ・ハート」「アウトサイダー」「ペギー・スーの結婚」「ドラキュラ」など常に話題の中心であったはず。なぜだろう。21世紀に入り、自由な映画製作ができる環境になるとクリエイターは自分のイマジネーションで作品をつくるが、一般観衆にはそれがあまり理解できないことが多い。作品への期待度が高いコッポラの場合、がっかり度も大きく、タイム誌は多少のジョークも含めてコッポラをあえて入れたのかもしれない。映画界はやはり芸術的な作品よりも興行的成功を期待するのであろう。
1982年のSCREEN付録の「WHO'S WHO」に次のようにある。「この10余年、アメリカ映画界で最も話題をまいた男。同時にニュー・ハリウッドの推進者の中心的存在でもある。70年の「パットン大戦車軍団」と72年の「ゴッドファーザー」でアカデミー脚本賞、74年の同「PARTⅡ」では作品、監督、脚本賞とオスカー5個を獲得。74年の「カンバセーション盗聴」と79年の「地獄の黙示録」でカンヌ映画祭のグランプリを獲得した「賞男ナンバーワン」である。
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