旅と人生
旅とは何か。日本で「旅」の枕詞が「草枕」つまり、草をまくらに野宿する意味である。「人もなきむなしき家は草枕 旅にまさりてくるしかりけり」(大伴旅人) 洋の東西を問わず人はみな旅人だった。「歴史の父」ヘロドトスは偉大な旅行家でもあった。あの秦の始皇帝も広大な中国を何度も巡幸している。アレクサンダー大王もシーザーもナポレオンも馬上の人であった。屈原、李白、杜甫、詩人はみな旅人だった。日本でも大伴家持、西行、芭蕉。源義経、吉田松陰、坂本龍馬など偉人は流離を好んだ。大町桂月、石川啄木、種田山頭火など詩人も各地を遍歴した。民俗学の創始者として知られる柳田國男も生涯にわたって、幾多の旅を執拗に繰り返した人である。西洋でもコロンブス、マジェランらは冒険の航海にでて、ゲーテ、ゴッホ、ゴーギャンなど人生が旅そのものだった。童話作家アンデルセンは「旅はわたしにとって最善の学校である」と言い、ヴィクトル・ユゴーは「人生は航海なり」と言った。最近の飛行機や新幹線などの快適な旅によって、文学から紀行文がなくなってしまった感じがする。
映画「あなたへ」の中で、ビートたけしが、旅と放浪の違いについていう語るシーンがある。「旅には、帰る所があるけど、放浪には帰るところがない。旅には、目的があるが、放浪にはない。芭蕉は旅で、山頭火は放浪ですね。」
「旅と人生」というテーマだったが、人生そのものをみれば、結局はどんな人でも放浪と同じじゃないかと思う。
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