雑学知識は転ばぬ先の杖
子供の頃「危険信号」という番組を見ていた。円形のレールの上に走る模型の機関車が一周する間に出された問題に答えなければ、機関車の前に付いた針が風船を破裂させるというスリリングなクイズ番組だ。司会の木島則夫はNHKを退職し、NETの木島則夫モーニングショーの司会をすることになった。「今週の歌」というコーナーがあって、ここから話題の歌がよく生まれた。美輪明宏(当時は丸山明宏)の「ヨイトマケの唄」やジェリー伊藤の「誰もいない海」。先日、トワエ・モワの「誰もいない海」は亡くなられた山口洋子さんの作品、というトンデモナイ誤報がニュースで流れたが苦笑するしかない話である。木島則夫モーニングショーで紹介されたシャンソン風の新曲と、銀座の女帝であり五木ひろしの生みの親でもある山口洋子とは、どう考えても結びつかない。オカシイと感じるのが普通の感覚なのだが、それは同時代を生きなければ分からないことなのかもしれない。ほぼ同時期に山口洋子という作詞家が世に出たのであるからこのような勘違いはありうると多くの人は思うだろう。なぜこのような思い違いが起こるのか、科学的に研究する学問は未だ知らない。それを防ぐのは、雑学だけだと確信している。地位のある学者や研究者は雑学を軽蔑し、軽視する傾向があるが、実は雑学こそ学問の基礎・基本である。この世にはさまざまな情報があふれているし、図書館には膨大な資料が保存され、ネットには膨大なデーターベースから即座に検索できるシステムが構築された。しかしこれらの情報を活用するのは人間の英知、知性である。ことば、歴史、伝統、文学、科学、社会、映画、人物、年号、などあらゆる要素を絶えず整理した知識がいま求められている。同姓同名などの思い違いや誤解のリスクもふだんの雑学研究により回避できる。雑学は「転ばぬ先の杖」のようなものだ。
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